イブのたわごと

ストレスを手放して生きるための練習帳

母乳マッサージを体験して感じた闇

今週のお題「夏を振り返る」

この夏、大学時代の友達が出産し、久しぶりに新生児を抱っこしました。我が息子は1歳にして13キロ近くあるビッグボーイなので「生まれたてってこんな小さかったっけ」と驚愕。一方で友人も「1歳ってそんな大きいの?0歳の時からそんなだったの?」と息子のデカさにビビりつつ質問ぜめ。どうやら、子供の体重があまり増えず授乳について悩んでいるらしい。友人の話を聴きながら、あったなぁそんな時期、と急速に授乳期の思い出がフラッシュバックしてきました。

授乳は重労働だと思う

それって母親としてどうやねん!という批判を恐れつつも告白しますと、わたくし「授乳」という行為が苦手でした。「え?まじで?授乳って最高の母子スキンシップで至福のときなんじゃないの?」と言われるかもしれませんが、スキンシップで片付けるには似つかわしくないほど、授乳というのは重労働じゃなかろうか。まずもって、生まれてからしばらくは昼夜問わずとにかく授乳。寝ても覚めても授乳。ずっと授乳。新生児のうちは1回の授乳に40分とか要する上、やっと終わったーと思ったら、2時間しないうちにまたあげなきゃいとかザラ。文字通り24時間営業で乳放り出してました。産後で体がボロボロなところを、授乳で体の栄養がどんどん吸い取られるので、体力が全然回復しません。どれだけ飲めてるのか?足りてるのか?が目に見えてわからないし、とにかく授乳にまつわるストレスが色々あるのです。食いしん坊の息子は、飲んでも飲んでも満足しなかったので、思い切ってミルク7割・授乳3割くらいに切り替え。そこから育児が徐々に楽になり、離乳食をバクバク食べはじめてすんなりと授乳が不要となってからは、めっちゃ楽になりました。(あくまで個人的な感想です。感じ方には個人差があります。)

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授乳は大変なのじゃー

母乳が出過ぎてジャガーさん問題

ちなみに、母乳が出なかったから大変だったの?と思われるかもしれませんが、実はその逆で、むしろ母乳がめっちゃでるタイプ。どれくらい出が良かったかというと、授乳タイムが始まると、溜まりに溜まった母乳が待ってましたとばかりに四方八方にピューッと吹くジャガーさん状態。毎度、息子の顔びっしゃびしゃ。「ちょ、そんな急に噴射されましても」と言いたげに、よく眉間にシワを寄せてた息子。

四方八方というのは大げさではなく、母乳って1箇所から出るわけじゃなくって、複数の乳腺から出てるんですよね。で、その乳腺が1つでも詰まると乳腺炎という世にも恐ろしい症状になるのです。出どころを失った母乳が溜まったことが原因で、胸がカッチカチになって熱が出るんですが、これがまーーーホントに辛い。39度の熱でるし、胸がズキズキ痛くて眠れないわ、でも授乳はしなきゃいけないわで、まじで泣きました。出産した産院に駆け込んで処置してもらうと、看護師さんから、しばらくは乳腺炎予防のために母乳マッサージに行ってみるのもいいかもねと勧められ、とある某有名母乳マッサージにお世話になったのであります。

母乳マッサージを体験した時の話

丸見え部屋に驚く

いざ予約して向かった母乳マッサージ。マンションの一室だったのですが、ドアを開けてまずびっくり。部屋に入るとすぐ、うっすい暖簾がかかっている先に、何の囲いもなくベッドがドーン!と一台置いてあって、マッサージを受けている最中のママさんの姿が丸見えだったのです。ちなみに母乳マッサージ中ですので、もちろん上半身裸!いや、確かにね。授乳期ってそういうもんっちゃ、そういうもんですよ。ママさんどおし同じ場所で授乳することってありますしね。でも一応、カーテンとかで囲ってある授乳室の方が多いと思うし。ベッドの横にパーテーションの一枚でもあれば違うんですけど、「人に隠れてするようなマッサージじゃありませんが何か?」っていう強気な香りすら漂う、あまりにオープンな感じにいきなり圧倒されたわたくし。

マッサージ師の高城さん

面食らってその場につっ立っていると、マッサージを施している40代後半くらいのおばちゃんから、「もうちょっとで終わるから、そこのプレイスペースで待ってて」と声をかけられます。白装束に、化粧っ気ゼロ、色がちょっと浅黒く、”自然派!ナチュラル命!ロハスな生活!”って感じのおばちゃん。なんとなく、◯麻で世間を騒がせた元女優の高城沙耶っぽい雰囲気なので、高城さんと命名。高城さんの指示通り、息子とプレイスペースで遊びながら待ちます。10分後、高城さんがやってきて、まずは簡単なカウンセリング。授乳の間隔や食生活などについて質問がありました。息子は当時生後4ヶ月で、夜はよく寝るようになり夜中に一度起きるくらいという状況と、乳腺炎になっていることを説明。すると高城さんに「寝かしてちゃダメよ、夜中でも3時間おきに起こして授乳しなさい。母乳の質が悪くなって味もまずくなるし、そもそも夜起こさないから乳腺炎になるのよ」といきなり怒られます。

おいおい正気ですかい?やっと夜寝てくれるようになってきたのに、自ら3時間おきに起こせと?夜中に頻繁に起きて授乳が必要な新生児期から一歩前進し、授乳間隔が空いて、まとまった睡眠時間が確保できることって、母親にとってはめちゃくちゃありがたいことなわけですよ。それを自分から起こせとか、ドMなのですか。「起こさないと母乳の質が悪くなる科学的根拠とかあるんですか?」と聞いてみたい気持ちを抑え、目的はマッサージだ!と思い、適当に頷いてスルー。

クジラになりました

いよいよマッサージ開始。上半身むき出しで、ベッドに横たわります。すると高城さんが白いタオルを出してきて、「マッサージの時にはこのタオルを必ず使うので、次回来るときは必ずもってきてください」とのこと。思わず「他のタオルじゃダメなんですか?」と聞くと、食い気味に「ダメです、このタオルじゃなきゃダメ」と言われる。ツッコミどころ満載だなーと思いつつ、幸いにも、肝心のマッサージは上手でした。母乳マッサージってすごいんですよ、その名の通り母乳をだすためのマッサージなのですが、リアルに母乳が天井まで吹き上がるのです。ショワー!!!って母乳が吹き上がって、まるでクジラになった気分。飛び散る母乳を、高城さんが例の白いタオルで拭きつつマッサージ。わたくしがクジラになってる最中、「こんにちはー」と二人くらいお母さんが部屋に入ってきましたが、その頃にはもはや丸見えとかどうでもよくなってきていた。そんな自分が怖い。こうして、詰まってた乳腺も無事に開通し、カチカチだった胸も楽になったのでした。ありがとう高城さん。

断乳恐怖症ボーイたっくん

マッサージが終わると、美味しい母乳になってるはずだから(!)、授乳しながら少し待っててといわれます。あとで授乳指導があるらしい。プレイスペースに行くと、近くで1組の親子が遊んでました。たっくんと呼ばれてる1歳半くらいの男の子と、「よくできまちたねー!偉いでちゅねー!なでなでちてあげまちょうねー!」とバブバブ系言葉を連発するお母さん。ぱっと見、たっくんはかなりの甘えん坊。ほどなくして、たっくん親子のカウンセリングが始まりました。真横で話してるのでもちろんまる聞こえ。こういうコミュニティはプライバシーとかそういう概念はないのだろうか、と思いつつ聞いてしまうわたくし。どうやら近々断乳したいとの相談。念のため補足ですが、断乳というのは、授乳をやめるという神聖なる儀式のことです。スムーズに断乳したいけれど、たっくんが断乳を断固拒否しているらしい。

びっくりしたのが「断乳」というワードがでた途端、たっくんがこの世の終わりかってくらい断末魔の叫び声をあげて泣きしだしたこと。1歳半ってもう結構言葉の意味わかるんですね。そしたら高城さん、「授乳って本当に素晴らしい、神様がお母さんだけにくれたプレゼントだから、別に断乳を急がなくていいんですよ。たっくんもこんなに嫌がってるじゃないですか。お母さんも寂しくないですか?3歳すぎても授乳してるかたもたくさんいらっしゃいますよ」といいはじめます。するとたっくんマザーも「そうなんですよ、ほんとは私も寂しい思いもあって。おっぱい大好きでご飯の食べもあまりよくないし、仕事復帰もあるから断乳しなきゃとおもってはいるんですけどね。でもやっぱりもう少し先にしようかな」と言い出して、なんか断乳しない流れに。あれれ、断乳したいってきてるのに、授乳マンセー!やめらんねーぜ!ってなってるぞ。もうわけわかりません。お好きにどうぞ。

咥え方が下手だとディスられる

たっくん親子のカウンセリングがひと段落したところで、高城さんが「そうだ、授乳指導しなきゃねー」とこちらにやってきます。で、授乳姿を見せたら、いきなり「咥え方が下手!もっと奥までしっかり咥えて、唇があひる口になってなきゃダメよ」と、母乳を吸ってる息子の口に無理やり指をねじ込んできたのです!もちろん息子ギャン泣き。「こちとらちゃんと飲めてんだから、吸い方が下手とかうっせーんだよロハスBBA!」と言いたかったんであろう息子(口悪い)。

挙句の果てに、「あなたはしっかり母乳が出るタイプだから、ミルクを足す必要はない。もっとたくさん授乳して、完全母乳にしなさい」とかいう1ミリも望んでない提案がでてきたあたりで、ギブアップ。「そろそろ昼寝の時間なんで帰りまーす」と逃げるようにして帰りました。息子はディスられたのが相当嫌だったようで、その日は一日、授乳のたびに思い出したようにギャン泣きしていました。嫌な思いさせてすまん息子、と思いながら、ここのマッサージには二度と行かないぞと心に誓ったのでした。

母乳神話は闇が深い

わたくしの初めての母乳マッサージ体験は、まぁ要約すると、ちょっと気味の悪い空間だったなと。とはいえ、胸は楽になったし効果はあったので、否定はしません。ただ、「授乳というのは素晴らしいですぞーーーーー!」という押しがすごかったな、というのが一番の思い出。母乳が素晴らしいのはわかったからさぁ、あれだめこれだめ、こうしろああしろって言わなくてもいいのになぁ。きほん何事もスルーできる適当人間のわたくしですら、このマッサージにいったあとは「咥え方が下手とか言われてたけどちゃんと母乳飲めてるのかな」「夜全然起きなくなったけど起こさなくて大丈夫だろうか」としばらくモヤりました。産後ってホルモンバランスぐちゃぐちゃだし、寝不足だし、普通の精神状態じゃないですから。もっと真面目なお母さんだったら、夜中寝てても起こせと言われたらそうしちゃうだろうし、飲み方が下手と言われたら、うまく飲ませないといけないと、毎日子供の口に指突っ込んじゃうかもしれません。追い詰められちゃうお母さんもいるんじゃないかと。母乳が赤ちゃんに良いというのはわかりますが、それに固執するあまり、お母さんが育児に多大なストレスを課すようであれば、本末転倒だとなというのがわたくしの感想です。

おわりに

こと出産や育児に関しては、ああすべきこうすべきと、ダメ出しをしてくる人間がホントに多いのは何なんでしょう。自然分娩じゃなきゃとか、完全母乳じゃなきゃとか、離乳食は絶対手作りじゃなきゃとか。何事も信仰するのは自由ですが、べき論を無理に押し付けてくるのは、ちょっと違うなーと。育児は人それぞれなんだから。

子育て中、もしくはこれから子育て予定のお母さまがた。もしそういう押し付け人間と遭遇したら、右から左にチャラチャッチャッチャラッチャーと受け流して(懐かしい)逃げましょう。上手にスルーするのが精神衛生上よろしいかと!

そして、お父さまがた。誰かの心無い発言に奥様が悩んでいる姿を見かけることがあったら、「誰かの勝手なお節介に悩む必要なんてないよ。そのままの君でいいんだよ。頑張りすぎないでもっと僕に甘えて。」とバックハグからのおでこにキッスをしてあげてください(中村倫也で脳内再生)。

 

そんな、本日のたわごとでした。